2013年5月11日土曜日

ボディクレイのねんど

  粘土と一口で言っても、その成り立ちや結晶構造などからいろいろな種類があり、また例え同じ種属の粘土でも 場所によってミネラルの割合がちがうし、特 性も変わったりする。焼き物などによく使われるカオリン、化粧品にもよく使われている雲母や滑石も粘土の仲間です(粘土鉱物ではないのに、便宜上粘土とよ ばれている紙粘土や油粘土のようなものもありますが)。

 何億年か前に海底で火山が爆発し、それがその後隆起してできたのが日本列島ですから、日本では、全国のあちこちに上質のねんどが産出します。世界でもい ちばん粒子が細かく、膨潤力(水などを吸い込んで膨らむ力)の大きいナトリウム・モンモリロナイト(スメクタイト属、ベントナイトともいう)という種類の ねんども採れます。モロッコのガスールも、同じスメクタイト属の粘土ですが、こちらはマグネシウムが沢山含まれており、現地の技術者はマグネシウム・モン モリロナイトと言っていました。(でも粘土学者の故古賀先生にみせたらスティブンサイトという同じ属の珍しい種類の粘土とのこと)


 粘土に関わってすでに十数年、モンモリロナイトに関してはいっぱしになった気でおりますが、このねんどに関する研究はまだ始まったばかり、粘土の粒子が 見えるようになったのは 電子顕微鏡が発明されてからのたかだか四十年あまりだそうですから、まだまだ全貌は解明されていません。

未だに驚くようなことの発見があって、まだまだ奥 が深そうです。


 粘土、という言葉に反応するようになって気がついてみると、テレビのドキュメンタリー番組などにも、ねんどはよく登場しています。

時代を超え、世界のあ らゆるところで、ねんどが生き物と関わってきていることがわかります。例えば、南米に住む色鮮やかな鳥の餌はその地方の毒のある木の実なのですが、彼らが 毒消しに使っているのは崖の粘土だとか、傷ついた動物たちはある種の粘土質の場所に横たわって治すとか、世界各地で髪を洗ったり、からだに塗りつけたり、 羊毛を洗うのに使っていたり、日焼け止めに顔に塗ったり。


 工業的にもよく使われています。色を吸収させたり、紙の表面加工に使ったり、全国のゴミ処理場や六ヶ所村の核廃棄物の周りには有害物質を通過させないために、この粘土を使っているそうです。


 地球上に生命体が発生したときに、そのゆりかごの役をしたのがこの粘土らしい、といわれてきましたが、最近読んだ『「生命の起源」地球の書いたシナリ オ』(著者・中沢弘基さん=日本粘土学会の元会長、東北大の物理学の教授)によると、もっと積極的な役割をしていたのではないか、という興味深い記事が いっぱい出ています。


 太古の昔から、いのちにもっとも近いところに存在してきて、無機鉱物なのにまるで有機(小麦粉などと同じように水を吸い込んで膨らむなど)のような働きをするのです。

命に対して親和的なねんどなので、勿論、人体、肌にもよくて、スキンケアにはぴったりの素材です。


モンモリロナイトの 無機でありながら有機物のような働きをするという特性は、スキンケアにも最適ですが、命に対して親和的ということは、肌にはもちろん、菌(これも生命体) に対してもいいので、制菌には気を遣っています(ねんどの粉やガスールなど水が入っていないものは菌が増える心配はありません)。


[モンモリロナイトがスキンケアにいい点]

1)0.2ミクロンの微粒子の層間に20倍もの水分や油、タンパク質(汚れや老廃物)を抱え込む力がある。


2)微粒子に抱え込んだ保湿成分を必要とする肌に届ける。


3)乾くと非常に薄い皮膜を作る(肌のバリア機能を強化し、肌自体が持っているしっとり成分(NMF=天然保湿成分)をひっぱりだしてくれること)。


4)鉱物なので、きわめて安定していて、植物や動物に比べ、アレルギーを起こしにくい。


モンモリロナイトを使うと、合成界面活性剤なしで水分と油分を混ぜ込むことができるので、ボディクレイは乳化剤を使わない、というのも特徴の一つです が、乳化剤になれた人には使い心地が落ちるかもしれませんね。


でも、使い心地のいい、すーっと沁みていくようなのこそ危ない。

合成界面活性剤の危険性はよ くわかっているつもりだったけれど、それ以上のようです。 


※この文は今から8年くらい前の文ですが、その後,,,


解明されつつある「ねんどの働き」

ボディクレイで使っている粘土は国産のナトリウム・モンモリロナイトですが、これは水を吸うとクリームのように滑らかな状態になるだけでなく、イオン化して汚れなどのプラスイオンを吸い付ける、結晶の中に水と一緒に保湿剤やオイルを抱え込むなど、スキンケアにぴったりの特性を持っています。

開発以来、痒みがひいたとか、アトピーが治ったとかいうユーザーからの報告を戴くことは多いのですが、このナトリウム・モンモリロナイトが、肌の表面でどのような働きをしているかを詳しく検証している粘土学者も、皮膚の専門家もまだいません。


皮膚科学者傳田光洋さんの著書に、ヒントがあるように思います。そのメカニズムが解明されたら、肌の改善に役立つことを自信を持って、お伝えできると思っています。


皮膚は体の内と外の境界をつくる一番大きな臓器です。内蔵は半分になっても生き続けていけるけれど、皮膚は1/3 がなくなると生きていけません。

健康な皮膚は電池のようになっていて、アトピーや老人性乾燥肌は電池切れの状態。

皮膚の表面にーイオンを塗布するとイオンバランスが整って皮膚のバリア機能の回復が促進される。

特にナトリウムイオンでバリア再生機能が促進されるとのこと。

ー岩波科学ライブラリー・傳田光洋著『皮膚は考える』ほかを参照ー


皮膚は免疫をつかさどり、外部刺激のセンサーであり、脳と同じ受容体を持っている。

ボディクレイのねんどはナトリウムモンモリロナイトで、水を含むとイオン化し、マイナスに帯電します。

ナトリウム・モンモリロナイトが肌にどのように働くか、というメカニズムも解明されてきています。



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