2020年11月8日日曜日

ボディクレイ開発時のはなし(3)

つづき>

その後、一通りのボディクレイのシリーズのアイテムが揃って、粘土科学研究所を卒業し(?)、粘土科学研究所昭島分室は1999年オーガニックライフサ ポート(有)空として独立しました。

ボディクレイはいわば、私にとってこどもみたいなものなので、その後も、何かと関わって今に至っています。

(有)空では ボディクレイの他にも、ナイアードのヘナやガスールなど 私が直接商品開発に関わったアイテムがあるので、それらを中心に、流通をやっています。

たぶん、業界一扱いアイテムが少ない、でも扱っているものについては、一番詳しく正しい情報をお伝えできるコアな流通だと自負しています。


 今でこそ,ねんどもポピュラーになってきていますが、当初は、え?!粘土?という反応も多くて、なかなかむつかしかったものです。

でも、目新しいだけ に、雑誌やテレビに取り上げられることも何度かあって、ほしいんだけど売ってるところがない、という状況だったのです。(未だに、まだ、そういう傾向がありますが)

私がボディクレイのHP(今のSORAのHPの前身)を作ったのは、1997年頃です。

ねんどについての正しい情報を伝えたい、ということと 買うところが近くにないお客様のためにボディクレイが手に入るようにしたかったからですが、HPを作ってからの2、3年は、売ってるお店が他にあまりなくて(まだネット上に 楽天やヤフーもなかった時代)、目が回るような忙しさでした。

もちろんボディクレイの注文も、毎日それなりにきていたのだけど、掲示板には毎日質問が殺到するという感じで、あっという間にカウンターは20万を超え、、、私は、それに、答えるのに、日夜パソコンに向かっていたものです。

むつかしい質問も多くて、本を調べたり、実験してみたりで、ずいぶん勉強させて もらいました。


とはいえ、あれから何年も経っているけれど、まだまだボディクレイを知らない人も大勢います。

丁寧に説明して、大事に売っていって、ゆっくり確実に伸びていくのが ボディクレイには似合っていると思っていました。


でも、去年あたりから今までとは違う感触を感じています。One of 化粧品、というのではなく、粘土だから、という。

私が最初に興味を持ったのと同じような感じでボディクレイに興味を持ってくれる人たちが確実に増えた気がするのです。


ずいぶん前ですが、ねんどのハミガキ発売の頃、エコロジー事業研究会の加藤さんから、いってもらった忘れられない言葉があります。・・・何か今までとは違ったセンスや、大げさに言えば違った生き方に繋がる感覚をこの「ねんどのハミガキ」は伝えてくれます。・・・と。

我が意を得たり、というか、とても嬉しかった。

ボディクレイを通じて、そういう発信ができたら、本当にうれしいことです。


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この後、10年も経ってしまいました。

ねんどもクレイとして(同じ粘土系ですが)化粧品の世界にもすっかり定着してきた感がありますが、それでもまだまだ未知の分野かと。

知るときっとお役に立てると思います。


11/15のボディクレイからのお話会はアーカイブもできるそうなので、見ていただけると嬉しいです。

問い合わせ先 ボディクレイオンラインサロン



2020年11月7日土曜日

ボディクレイ開発時のはなし(2)

 つづき>

当時は、パッケージの形態こそ今に近かったけれど、違う名前で産ごえを上げたばかりの状態でした。

まず、ボディクレイというネーミングをきめ、新しいアイテムの企画と構成、レシピを考えて試作、パッケージデザイン(だけじゃなく制作!)、パンフレット作成、原価計算に価格設定、販売方針、営業と、何からなにまでやることが山積していたのです。

おかげで 私はいろんな分野の能力を全部引っ張り出して何とかしなければならない羽目になったのだけど、今思うとその大変さゆえに楽しい思い出です。

販売や経営的なことに関しては お店での長い経験があったし、製品のレシピの検討や試作はお料理を作る面白さ、むずかしさとよく似ていて「たべものや」の経験が役立ちました。

何よりきびしい消費者としてのキャリアがあった。

それに、大昔は、セツ モード セミナの第一期ゲリラ(我ながら懐かしい!今となっては殆どの方は知らないでしょうけれど)で、 イラストレーターとして活躍したこともあったので、パンフレットのイラストやレイアウト、ラベルのデザインも、好きな分野の仕事でした。


ボディクレイという名前に決めて、販売を始めたのは95年です。

ラベルも基本的には現在のものと同じですが、当時の粘土科学研究所はまだ余裕がなかったので、最初の頃はコピーしたラベルに、手書きで丸く色を付けていたものです。(その後、同じデザインの印刷へ)。

最初の一色刷のパンフも私がやったのでしたねえ。文化祭のノリだったかも。


営業もはじめてやったけれど、このとき、今までは単に友達、とか知り合いだと思っていた人たちが、すぐにボディクレイを取り扱ってくれることになって、 びっくりしたことを覚えています。

自分では、それまで全く気がつかなかったけれど、それまで、私がやってきたことがある種 信用になっていたのですね。

エコ研の加藤さんが中高生へのメッセージで、「何となくでいいから仕事をしなさい。何十年かたつと、自分がやってきた足跡で、自分がどんな人間かというのがわかる」と話していますが、わたしも、ずっと自分の興味があることを夢中でやってきたら、20年、30年たってみると、私の後ろに 私の軌跡というか、どんな人って言うのができてきてるみたいだ、と最近はよく感じさせられます。



2020年11月6日金曜日

ボディクレイ開発時のはなし(1)

 10年くらい前にかいたものですが。

今回ボディクレイからZoomでお話することになって、読み直してみたものです。起業の記録でもあります。

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はじめてねんどの製品と出会ったのは、たしか1995年だったと思います。旧知の友人のパーティに、清拭剤などねんどの製品を持ってきている人がいて(それが、今の(株)ボディクレイ代表の手塚さん、ねんどおじさんです)、私は、それを一目見てなんだか、ピンと来るものがあったのでした。

透明なチアバックに入った白いねんどはとても魅力的にみえました。

今のねんどのパック、思えば、これって、私が最初にみたねんど製品でしたね。

清拭剤として、すでに製造されていたものを昭雄さんが友人達の集まりに持って来ていたのです。


 その頃はまだ、ボディクレイという名前ではなく、別の名前で産声を上げたばかりの状態だったようです。わくわくして使ってみると、使い心地もなかなかよかったし、朝の洗顔時に手に触れる肌の感じが 直に すべすべしっとりしてきてびっくりしました。


この白くて滑らかな形態と使い心地に すっかり魅了されたのがねんどとわたしとの長い付き合いのきっかけでした。


 わたしは、まだこども達が保育園に行ってる30代の初めに、西荻でアクセサリーの工房をはじめたのですが、その後、元郵便局の建物で 工房を兼ねたユ ニークな何でも屋「ジャムハウス」を経て、夫(当時の)や仲間とほびっと村(70年代のカウンターカルチャーの 拠点になった)をオープンし、その後、元のジャムハウスの場所で、女性達と自分たちのやり方で生き生き働ける場所としての「たべものや」—無農薬の食材を使い、玄米がおいしい店でしたーをみんなで12年間やってきて、、


 ねんどに出会ったのは、そのレストランをバブル時の立ち退きで閉店した後、やっと手に入れた自由な時間? 今思うと人生の夏休みみたいなーを楽しんでいた頃だったのです。

この時間を手放すのには、ちょっと決心がいったけれど、手塚さんに誘われて、結局、週に2日だけ、とか言いながら、粘土科学研究所に通うことになり、その後、どっぷりとねんどにはまることになってしまったのでした。


お肌の曲がり角はとっくに過ぎていたので、人並みにスキンケアは気になって、自分で作ったローションやクリームを使っていたのですが、いわゆる化粧品には不信感があって、全然買う気にはなれなかった。

ボディクレイも化粧品として販売されているのですが、私にとっては「ねんど」だから、魅力があったのです。

ねんどの捨てても土に帰る安全性に惹かれたからですが、使ってみると気持ちいいだけでなく、思いもかけない効果があるし、知れば知るほど奥が深くて、スキンケアだけでなく、他にもいろいろと可能性を秘めている不思議な鉱物であることがわかってきました。

この粘土(モンモリロナイト)の研究を十数年もやってきたのは、今は亡くなった化学者である手塚さんのお父さん、手塚煕氏でした。


彼からは当時わかっていた粘土のあらゆることを一から教えてもらいました。マンツーマンで化学の授業を受けながら、一緒にレシピを考えたり試作をしたり、もともと勉強好きな私は 手塚お父さんの熱心な生徒になって、モンモリロナイトなんて聞いたこともなかった未知の物質の不思議さに、どんどん引き込まれていったのでした。 思い起こすと本当に貴重な体験をさせていただきました。

今でもわからないことがあると彼に訊けたら、と思います。それに、ボディクレイがこんなにポピュラーになったことも見てもらいたかった。


 天然のモンモリロナイトは化学物質と比べて扱いにくい原料ですが、製造に関してはベテランの和代さん(手塚昭雄さんの妹さん)がいて安心でした。彼女は余人に代え難い技の持ち主なので、当時は彼女が倒れたら製造はどうなるの、と 時々不安になっていたものです。-------------------